君のとなりで恋をします。─下─
なんで抱きしめたりするの…?
私にはもう桜河がいるのに…
なんで今更そんなことを…
…なんで………
考えたって分からない問いが、私の頭の中をグルグルと回る。
「まるちゃん、点呼もうすぐはじまるかも…
はやく部屋に戻ろう。」
「え?…あぁ、うん。」
これ以上この部屋にいるのは難しいと判断した私は、慌ててまるちゃんの手を取って立ち上がる。
…大丈夫。
さっきのは、先生から隠れるために私を庇ってくれただけ。
きっと〝出てきていい〟という葵斗たちの声が、柊吾には聞こえてなかったんだ。
大丈夫。
一晩寝たら、これくらいのことすぐに忘れられる。
大丈夫…。
そう自分に言い聞かせながら、まるちゃんの手を引く。
早くここから出て、気持ちを落ち着かせたかった。
…でも……