君のとなりで恋をします。─下─
昨日の京都班行動は、とにかく柊吾と距離を置くことに集中していて…
どこで何をしたかとか、何を食べてどんな味だったかとか…
そういうことをあまり覚えていない。
せっかくの修学旅行なんだから、楽しまないと…
まるちゃんも、私の事心配してたよね…
今日の夜、きちんと謝ろう。
小さくため息をつくと、後ろから軽く頭を叩かれる。
この状況でこんなことをするのは、間違いなく桜河だ。
ゆっくりと振り返ると、そこには案の定桜河がいて…
「なんかお前、顔色悪くね?」
桜河は私のおでこにそっと手を当てる。
「熱はねぇな。」と安堵のため息をつく彼に、私はできるだけ自然に笑う。
「あー…なんかよく眠れなくてさ…
ほら、私って繊細じゃん?
自分の枕でしか眠れないんだよね。」
「しょっちゅう俺のベッドで爆睡してるくせに、よく言うよ。」
そう笑う桜河に、私の胸はキュウッと締め付けられる。
この胸の痛みが意味するのはトキメキなのか、それとも後ろめたさなのか…
あの夜から丸一日以上経っても未だ混乱する私の頭では、わからなかった。