君のとなりで恋をします。─下─
「あははっ。
今日はしようね、ちゃんとしたデート。」
「おいこら、笑うな。」
「デートはね、手を繋ぐんでちゅよー。
ほらほら、手!」
「俺の事バカにしてんだろ。
…周りにバレても知らねぇからな。」
口調や表情では嫌そうにしていても、繋がれた手はこんなにも優しい。
桜河はきっと、私と柊吾の間に何かあったことに薄々気づいている。
桜河はそういうところはすごく鋭いから…
だけどこうして何も聞かずにいてくれるんだよね…。
「よーし!レッツゴー!
どこ行きたい!?」
「お前の行きたいところでいいよ。」
「ほんと!?じゃあ錦市場!!
おいしいもの食べたい!」
「…食い意地。」
「ん?なんか言った?」
「いや、何も。」
ありがとう、桜河。
待っててくれて…信じてくれて…
必ず今日話すから…
心の準備ができるまでもう少し待ってね。