君のとなりで恋をします。─下─
「成宮おつかれー。
それ運ぶの?手伝うよ。」
そう言って私からカゴを奪った男の子は、
‘ まっつん ’こと松井岳(マツイ ガク)。
私と柊吾が付き合うきっかけを作ってくれたのが、まさにこの彼。
「ありがとうー、まっつん。
助かるよ。」
「いえいえ。
なんか…こういう仕事、ほとんど成宮がやってねぇか?」
「まっつん、君めっちゃいいヤツだね。」
「お…?そ、そうか?」
彼女の美貌に浮かれきった選手たちは、なかなかそんなことには気づかない。
彼女のことをチヤホヤして、そのくせ重要なことは全部私任せ。
今まで私の居場所だと思っていたこのバスケ部が、何だか少し変わってしまったようで寂しかった。