君のとなりで恋をします。─下─
私が話している間、桜河は何も言わずにただ話を聞いてくれた。
「ごめん。こんな話聞かされても困るよね。
そもそも、柊吾の好きな人が私だなんて…
ただの自意識過剰かもしれないし…」
「…いや。
そのタイミングでそんなことを言われたら、誰だってそう思うだろ。」
桜河はそこまで言うと、しばらく何かを考え込むように黙る。
桜河は、どう思ったかな。
怒ってる…?
それとももう呆れられちゃった?
アイスコーヒーが入ったグラスをじっと見つめる桜河の表情からは何も読み取れない。
次に彼から発せられる言葉が怖くて、落ち着かなくて…
私は溶けかけのかき氷を意味もなくかき混ぜた。
私にとってはとても長くて辛い沈黙を破ったのは、もちろん桜河だった。