君のとなりで恋をします。─下─
「蹴るなバカ。
言われなくても出ますよーだ。」
私はせめてもの仕返しに、桜河の足を思い切り踏みつけてやった。
何か言いたげな桜河を無視して、スマートフォンを耳に当てる。
「…はい、もしもし?」
応答ボタンを押したものの、電話口の向こうはなぜか無音のままで…
あれ?…もしかして切れちゃった?
そう思い、スマホを耳から離そうとしたその時…
『───も、もしもし!!?
…成宮さんっすか!?』
「あ、はい。成宮です。」
耳がキンとなりそうなほどの大きな声。
おそらく、ここの場にいる全員に丸聞こえだ。
葵斗ってば、笑っちゃってるし…