君のとなりで恋をします。─下─
何としてでも追いついて、絶対に今日咲花と話をするんだ。
そう腹を括って足を早めたその時……
「…うわぁ!?」
私は思い切り誰かに突進してしまったようで、その反動でバランスを崩す。
そして後ろに倒れかけた私を、その人は力強く…でもどこか優しく抱きとめた。
あ……
この感じ…この匂い……
顔を見ずとも、誰だかわかってしまう。
「…香純、大丈夫?」
「っ……」
──────…柊吾だ。
今目の前にいるのが誰だかわかった瞬間、私は咄嗟に彼の胸板を押し、距離をとった。
「…あっ……ごめん……」
顔を上げると、彼があまりにも悲しそうに笑うから…私は罪悪感を抱かずにはいられなかった。