君のとなりで恋をします。─下─
「大丈夫!
柊吾、ぶつかってごめんね。」
「…いや、大丈夫。」
私はできるだけ自然に笑って見せた。
思えば、修学旅行で気まずくなってしまったのは、葵斗と咲花だけじゃないんだよね。
…私と柊吾も、未だに少し気まずい雰囲気。
「…成宮、もう帰んの?
影山が部活終わるの待たねーの?」
「あー、うん。
今日はちょっと急用で…」
そう尋ねてくるまっつんに、私ははぐらかすように答えた。
てゆーか、一瞬動揺で忘れてたけど…
こんな所で止まってる場合じゃない!
「ねぇ、まっつん!
咲花見なかった!?」
「…紅林さんなら、さっき昇降口いたよ。
なぁ、柊吾?」
「うん。…もう帰ったんじゃない?」
さっき昇降口を出たなら…
ダッシュで走ればまだ追いつけるはず。