君のとなりで恋をします。─下─
「うん。わかった。
土曜の2時くらいで大丈夫かな?」
『あ、ありがとうございます!
…じゃあ、土曜の2時に紅羽の最寄り駅の前で待ってます。』
「うん。じゃあまたね。」
『はい。また。』
市原くんからはなかなか電話を切りそうになかったので、私が先に通話終了のボタンを押した。
やっぱり、礼儀正しいよなー…
なんて思いながらスマホの画面を見つめていると、桃奈さんがこちらを見て笑う。
「すごいですねー、香純さん。
今のってデートのお誘いですよねー?」
柊吾の前だからか、あからさまに作った声でそう言う桃奈さん。
そんな彼女を冷ややかな目で見る咲花、葵斗、桜河の三人。
桜河なんて、彼女が発言しただけで舌打ちしちゃってるし…
発言権くらい持たせてあげようよ。