君のとなりで恋をします。─下─
「成宮さんが俺らに差し入れ持って来てくれたからって、妬くなよな!」
「そうだそうだ!
器の小せぇ男はモテないんだぞ!」
「アホか、これは俺への差し入れだ。
お前らはただの〝ついで〟だっつーの。」
そんな水泳部諸君の言い争いを、私は半分呆れながら見つめる。
てゆーか…桜河ってば、いつの間にこんなに他の部員と馴染んでたの?
前までは、水泳部でも浮いた存在だったみたいだし…
桜河と仲良かったのは、1つ上の吉良さんくらいだったよね?
最近はクラスメイトともよく話したりするみたいだし…
〝影山桜河は最近丸くなった〟という声も、よく聞く。
水泳部の部員たちと楽しそうに笑う桜河には、かつて〝狂犬〟と恐れられていた面影なんて全くなくて…
それが何故か嬉しくて、思わず笑う。