君のとなりで恋をします。─下─
「何笑ってんだよ。」
「別にー?」
クスクスと笑う私に、桜河は少し不服そう。
大きな手がこちらに伸びてきて、そしてギュッと私の頬を摘んだ。
「いひゃいいひゃい!」
こやつ、女子の頬を思い切り抓りやがった!
彼の手から離れた頬は、じんわりと熱い。
「愛しの彼女が目の前で微笑んでるのに…
〝ハニーが笑ってる…可愛い!ドキッ…!〟とか、ならないわけ!?」
オネエ口調でそういう私に、桜河は若干引き気味。
「なんねーわ、アホ。
…つーか、なんだよそのテンション。
夏だからか?」
「夏とテンションの高さって、なんか関係あるの?」
「ほら、よく言うだろ。
〝暖かくなると変な奴が増える〟って…」
「え…?
もしかして私今、変質者扱いされてる…?」
たしかに最近勉強漬けで、頭もおかしくなりそうだったけど…
変質者扱いはひどくない!?