君のとなりで恋をします。─下─
ダン、ダンと鈍く響くドリブルの音も、シューズと床が擦れる高い音も…
パスを呼ぶ部員たちの逞しい声も…
あぁ……
本当に懐かしいな…。
去年の今頃は、私もバスケ部の一員だった。
この音を、この声を…
誰よりも近くで聞いていたはずなのに…
コートを駆ける姿も、汗だくになりながら…でも楽しそうに笑う姿も…
目を閉じればすぐに浮かんでくる。
だめだな…
やっぱり、ここに来れば思い出してしまう。
みんながそばにいてくれたおかげで、ようやく吹っ切ることが出来たのに…
ここにいたら、楽しかった思い出も辛い記憶も、すべてが蘇ってしまいそうで…
〝はやくここを離れないと…〟
本能でそう思った。