君のとなりで恋をします。─下─
今この場に指導者は居ないみたいだし、ここで指揮を執るのはキャプテンである柊吾。
柊吾のその言葉に、部員たちは大喜びでコートから出ていく。
…ただ一人を除いては。
「柊くん。
シュート練習、まだあと5分残ってる。」
柊吾の後を追いながら、桃奈さんは不満そうにそう言う。
「あー…いいんだよ。
今日、特に暑いし。早めに休憩しよう。」
柊吾は彼女をそう軽くあしらって、こちらに駆け寄りみんなの輪へ入っていく。
その一部始終を遠巻きから見ていた私。
悔しそうに顔を歪める彼女と目が合い、慌てて視線を逸らした。
前にまっつんが、桃奈さんがいることで柊吾がピリピリしてるって言ってたけど…
あれ、本当だったんだ…。
朝のバス停とかで、一緒にいるところは見かけていたのに…
全く気づかなかった。