君のとなりで恋をします。─下─
「───…よし、そろそろ始めよう。
みんなビブス着て。」
そう呼びかけた柊吾に、みんなは休憩を止めて立ち上がる。
「あ、柊吾ー。
ボール、かなり汚れてたんだけど。」
3年生のうちの一人がそう言うと、柊吾は一度気まずそうに桃奈さんの方をちらりと見る。
「…あー……
…桃奈、悪いけどボール磨いておいて。」
最後は彼女と目を合わせることも無く、淡々とした口調でそう告げた柊吾。
まぁ、ボール磨きは大体マネージャーがやるよね…。
しかし、それを依頼された当の本人は一瞬だけ不満そうな表情を見せて…
そして貼り付けたような完璧な作り笑いを浮かべると、1年生の部員達の方へ振り返る。