君のとなりで恋をします。─下─
──────ビィィィー
10分間が終了したことを知らせるブザーが鳴り響く。
……モップがけ!!
私はその音が聞こえると、反射的に近くにあったモップを片手に駆け出していた。
選手が床に落ちた汗で滑ると危ないし、こうして合間に拭いてあげないと…
しばらくダッシュでコート中を駆け回って、ハッとする。
しまった…私、マネージャーじゃないのに…
出しゃばりすぎた。
シンと静まり返った体育館内。
恐る恐る振り返ると、選手たちはみんなこちらに注目していて…
「……ふっ……はははっ!!
さすが香純。すごいスピード感…(笑)」
目尻に涙を浮かべて笑う柊吾の声が、不意に体育館内に響き渡る。
あ…
こんな風に屈託のない笑顔で笑う柊吾を見たのは、いつぶりだろう。
ここのところしばらく、どこかに元気がなかったから…
……なんて、考えているのもつかの間……