君のとなりで恋をします。─下─
あの夏の日の海で、柊くんと一緒にいるあの女を見た時、一瞬でそれが〝かすみ〟なのだとわかった。
彼の口から嫌になるほど聞いたその名前。
顔の特徴、髪型、仕草まで…嫌になるくらい把握していたから。
私よりブスで、私より貧乳。
私より優っているところなんて一つもないくせに……
「…香純は俺の彼女。」
いつの間にかその女は、彼の〝好きな人〟から〝彼女〟に変わっていた。
嬉しそうに、だけどどこか照れくさそうにそう告げた彼の表情に、腸が煮えくり返りそうだった。
は…?彼女?
こんな平凡な女が、柊くんの彼女?
何の努力もしてなさそうな奴が、なんで当たり前のように彼に愛されてるの?
許せない。
…許さない、許さない、許さない!
……絶対に、引き離してやる。