君のとなりで恋をします。─下─
「────…気づいてねぇの?
…お前、今まで一度でも俺に〝好きだ〟って言ったことあったか?」
「…っ……」
桜河のその言葉に、私は何も言えなかった。
自嘲するような笑みを浮かべる彼の瞳は、すごく辛そうで…。
今私が「好きだ」と言ったところで、きっと信じてもらえないと思った。
むしろ、桜河を傷つけることになるんじゃないかって…
いや、違う…
それだけじゃなくて…私自身の気持ちの問題もあったのだと思う。
「…柊吾を好きなままでも、そばにいてくれるならそれでいいって思ってたけど…
………正直もう、俺がキツい…。」
2人だけの静かな部屋に、儚く消えたその声。
少しだけ震えた唇から紡ぎ出されたその言葉が、桜河の本心であると悟った。