君のとなりで恋をします。─下─
隣にいることが、幸せだと感じた。
本気で好きだと思った。
だけど…
昨日柊吾に告白されて気持ちが揺らいでしまったことは、自分でもわかる。
いや、昨日のことはただのキッカケに過ぎなくて…
本当はずっと、柊吾のことを忘れられてなんかいなかったのかもしれない。
何をしてても、いつだって頭の片隅には柊吾がいて…
桜河はきっと、それに気づいていたんだよね…。
この人は、私のことに対して誰よりも…きっと私自身よりも敏感な人だから…。
〝柊吾のことを完全に忘れられていないけど、桜河のそばにいたい〟と言った私。
〝それでもいいから、そばにいろ〟と言ってくれた桜河。
そんな曖昧な始まり方をした恋だったけど…
いつの間にか私も彼のことを好きになって、〝ふつうの恋〟が始まったと思っていた。
だけど…そうじゃなくて……
結局私は、桜河の優しさに甘えていただけだったんだ…。