君のとなりで恋をします。─下─
「あ、バス来たよ。」
駅のバス停で柊吾が指さしたのは、とても見なれたバス。
私たちが生まれ育った町へと向かうバスだ。
「え…?これに乗るの?
…バスケ部の引退会に行くんじゃ…?」
引退会って、てっきり体育館か…もしくは駅近くのファミレスとかでやるものだと思っていたけど…
「会場…うちの旅館なんだよね。」
「あ、そうなの?」
「うん。
そのまま全員で一泊する予定。」
何…その楽しそうなイベントは…
大丈夫なのか、受験生…。
そう出かかった言葉を私はぐっと飲み込む。
まぁ、せっかくの引退会だもんね…。
これからバスケ部のメンバー全員で集まることなんて、もうほとんどないだろうし…。
私も、最後はみんなと笑い合えるといいな…。