君のとなりで恋をします。─下─
「───…送ってくれてありがとう。」
「どういたしまして。
もう肌寒いし、暖かくして寝なよ。」
「ふっ…お母さんみたい(笑)」
そう言う私に柊吾は小さく微笑むと、その大きな手で数回私の頭を撫でた。
戸惑う私を他所に、彼は優しく目を細める。
「香純…。」
「ん…?」
「受験が終わったら、話したいことがある。」
「…うん、わかった。
それまでは…お互い頑張ろうね。」
柊吾の言う〝話したいこと〟が何なのか…
なんとなく想像できた。
彼は少しだけ赤くなった顔を誤魔化すように咳払いをすると、もう一度私の方に向き直る。
「…それじゃあ、おやすみ。」
「あ…うん、おやすみ…。」
手を振って去って行く彼の後ろ姿が見えなくなるまで見送った。