君のとなりで恋をします。─下─
「うわー…大きい梨!
……あれ?何か入ってる…。」
立派な梨と共に母が袋から取り出したものに、私の心臓はドキリと脈打つ。
「…あ、これ。
香純がよく飲んでるやつじゃない?」
「香純に買ってきてくれたのかな?」と母が私に渡したそれは、イチゴ牛乳。
そっとそれを受け取ると、紙パックの周りに付いた結露が皮膚を濡らした。
その生温さに、なぜか涙が滲んだ。
桜河…。
コンビニに行ったら、いつもこれを買ってくれていた。
嬉しそうにストローに口をつける私に、〝よくそんな甘いもの飲めるな〟って苦笑いして…
これも、わざわざ買いに行ってくれたのかな…?
だって桜河は、イチゴ牛乳なんて飲まないもんね。
ビニール袋に入った1つのイチゴ牛乳。
もちろんそれにメッセージが書いてあるわけではないけど…
まるで、〝頑張れ〟と言われているような気がした。