君のとなりで恋をします。─下─
「じゃあ、そろそろ帰ります。
あんまり長い時間引き止めるのも悪いですし…」
そう言って市原くんはゆっくりと腰を上げる。
「駅まで送る。
…って言っても、すぐそこだけど(笑)」
私は部活のカバンとフラペチーノを手に持ち立ち上がった。
本当にこのハンカチを渡すためだけにここまで来てくれたんだな、と感心していると…
突然彼が私の腕を引く。
そしてそのまま勢い余って、彼の胸に飛びついてしまった。
「…成宮さん、危ないっす。」
頭上から聞こえる彼の声に視線を下げると、私のすぐ側を颯爽と三輪車で走り抜けていく小さな男の子がいて…