君のとなりで恋をします。─下─
「…すみません〜」
こちらに駆け寄って謝るその子の母親に、私たちはぺこりと頭を下げた。
「ありがとう、市原くん。」
私は慌てて彼から距離を取り、お礼を言う。
「いえ、俺こそすみません。
…き、急に……その…だ、抱き締めるみたいなことをしてしまって…」
だ…抱き締める!?
今のは、ただ市原くんが私を避けさせてくれて、それで私がよろけてしまっただけで…
ただそれだけの事だったのに、真っ赤な顔で照れる彼を見ていたら、なぜかこっちまで恥ずかしくなってきて…