君のとなりで恋をします。─下─
「…キャプテン。」
相変わらず大人の色気を放出して、扉にすがるキャプテンの姿。
「あー…
川上高校のデータが失くなったんだよ。」
一人の先輩が、気だるそうにキャプテンに説明をする。
「すみません。私が管理を怠りました。」
過去数年分の試合結果を元にした各校のデータは、バスケ部にとって大切なもの。
それを失くしてしまったことは事実だ。
「大丈夫、香純ちゃんのせいじゃないから。」
頭を下げる私に、キャプテンは優しく微笑んだ。
「…引退がかかった大会前でカリカリしてるのはわかるけどさ…
いつも頑張ってる子を一方的に責めるのは、ちょっと違うんじゃない?」
キャプテンの言葉に何も言い返せない先輩たちは、不満そうにこちらを見ながら体育館倉庫から出ていった。