君のとなりで恋をします。─下─
シュウメイギク
チッ…チッ…と小さく時計の針の音が静かな部屋に鳴り響く。
「あ…えっと…飲むものいる?」
「いや…大丈夫…。」
「そっか…」
再び二人の間に流れる気まずい沈黙。
肩と肩が触れ合いそうで触れ合わない、そんな絶妙な距離感。
いつもは落ち着くはずの柊吾の隣も、今は心臓が飛び出そうなほどうるさい。
遡ること10分前。
デートを終え、私の家の前まで送ってくれた柊吾。
玄関の前に着いてもなお、お互いに繋いだ手を離せずにいて…
『…それじゃあ、おやすみ。』
『…うん。おやすみ。』