泣いて、凪いで、泣かないで。
「みーちゃん、昨日のお笑い見たぁ?」

「えっ?昨日?」

「昨日ねぇ、タヌキンズが出てたんだよぉ!今はお笑い第8世代なんだってねぇ。後は、光るピロリ菌にぃ、カナリアにぃ、アネモネの姉ヶ崎さんにぃ......」


しーちゃんのお笑いの話を昇降口に着くまで延々と聞かされていたけれど、その間ずっと私はゆっとを見ていた。

お腹を抱えて笑ったり、

涙を流して笑ったり、

大声で笑ったり、

しーちゃんといるときのゆっとが1番キラキラしてる。

心から笑ってる。

それが私には嫌でも分かってしまって、

心がズキズキと痛む。

この痛みを私は卒業するまでずっと、毎日、感じるしかない。

不本意で、理不尽で、

それが人生だって、

半ば諦めているけれど、

それでも、今日も始まって

終わる。

この2人を見ているだけで、終わるんだ。


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