泣いて、凪いで、泣かないで。
「ねぇ、ゆっと。あれ、おじさんの車じゃない?」

「あっ...」


学校の敷地内の駐車場にワイパーを激しく左右に動かしている、8人乗りの青い車が止まっていた。


「ったく、目立ち過ぎだよ」

「もしかしてぇ、迎えに来てくれたんじゃない?優しいパパだねぇ。よぉし、乗せてってもらおっと」

「おい!ちょっと待てって!」


遠慮をしらない汐衣愛は相変わらずのマイペースぶりで父の車に突進していった。

水溜まりを蹴ると水がびしゃびしゃ跳ねるのも気にせず、全速力で走っていった。


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