泣いて、凪いで、泣かないで。
―――キーンコーンカーンコーン...

―――キーンコーンカーンコーン...


「あっ!戻んなきゃ!じゃあ、また後で」

「おう」


チャイムが鳴って脳が覚醒した。

俺はあることに気がついた。

俺は美凪の進路を知らない。

母親と同じ医者を目指すのか、はたまた看護師とかなのか。

最近まともに話もしていないから、何も分からない。

そして、やはり思い出すのは中学生のあの頃。

近所の高校がここしかなかったため、受験校はすぐに決まったのだが、なかなか模試の成績も上がらず、ここさえも入れないんじゃないかみたいなことを汐衣愛が担任から言われた。

それを防ぐべく、美凪と夏綺は一致団結して夏合宿を開いた。

合宿は美凪の家で行われていたのだが、その夕飯に俺と結月も混ざってカレーを作り、一緒に食べたのが懐かしい。

その日の買い出しは俺と美凪で行った。

そして、その帰りに美凪とある約束をした。

その約束は守ったけど、その後にあぁなるなんて......。


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