泣いて、凪いで、泣かないで。
「鳴海!」

「あっ、はいっ」

「ぼーっとするな。授業中だ」

「すみません...」


そういや、世界史の近藤先生はとんでもなく鬼教師だったんだ。

心を入れ直して勉強します。

俺はそう誓って、ノートを開き、ペンを動かし始めたのだった。

数日後、遂に終業式を迎えた。

つまり、明日からは高校生活最後の夏休みとなる。

そんな夏休みの予定といえば、夏期講習と父の店の手伝い、そして夏祭りだろう。

海が解禁したから、オヤジはサーフショップを休みにして海岸に海の家を建ててそこで商売を始めた。

夏はここで稼ぐと意気込んでいる。

客が増える週末は必ず出勤で、その他は呼び出しがあったらいつでも出られるように自宅待機。

受験生だから、家で大人しく勉強しなければならないとは分かってはいるが、1日中監禁状態なのは苦痛極まりない。

しかし、文句を言っても父の手伝いは息子である俺の役割だから、やるしかないのである。

やりたくないけど、やらなければならない。

そんなジレンマに俺の心は疲弊していた。


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