泣いて、凪いで、泣かないで。
「ゆっとも買ったんでしょ?楽しみにしてるねぇ。金魚すくいも楽しみにしてるよぉ。だって去年とった子達、3匹中1匹しか生き残らなくて、もぉ悲しすぎるからぁ、仲間増やしてあげないとって思って...」

「そうだな。いっぱい捕ろうな」

「うんっ!」


汐衣愛は誰の前でも良く笑う。

だから、俺だけの特別なのか、そうでないのか俺は分からない。

そして、それが不安を煽り、俺の心にもやがどんどんたまっていく。

まるで掃除機がごみを吸うように。

ただ、俺の心は掃除機とは違っていて、たまってしまっても捨てる場所がない。

ずっと溜め込み続けていずれどうなってしまうのだろう。

それでまた不安になって、大きく膨らんでいく。

そんな負の連鎖の中に俺は閉じ込められてしまった。

抜け出す手段は、見えている。

やるか、やらないかは、俺次第なんだ。

俺がどうしたいか、なんだ。


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