泣いて、凪いで、泣かないで。
「よっし。じゃあ、そろそろ帰ろうぜ」

「りょおかいでぇす。あっ、そうだ!そう言えば、さっきねぇ、なっちゃんが煌人くんに......」

「ちょっと、しーちゃん!言わないでって言ったでしょ!」

「言わないでって言われると言いたくなっちゃうんだよなぁ」

「何何?聞かせて」

「ちょっと、煌人!」


汐衣愛は誰にでも分け隔てなく接する。

それは多分、恋愛面においては罪だと思う。

分かっているなら、止めなければならない。

止められるのは俺しかいない。

なのに、言葉は出ない。


< 180 / 480 >

この作品をシェア

pagetop