泣いて、凪いで、泣かないで。
そして、今日から高校3年だ。

高校3年間はあっという間だった。

気付けば色んな行事が終わっていった。

何も変わらず、変えることなく、

ふわふわと風に吹かれるままなんとなく生きてきた。

だから、時間の経過が速く感じたのかもしれない。

ふと顔を上げると、ひらひらと桜の花びらが舞ってきた。

私は手のひらを出し、それを掬おうとしたけれど、ひゅーっと春風がさらっていった。

春になれば桜が咲く。

当たり前で変わらないこと。

変化のないことがらを見つけてはホッとしてしまうのは、私だけだろうか。

桜並木の中をただひたすら歩いていく。

自転車の男子生徒たちが私を抜かして行く。

わちゃわちゃ騒ぎながら、女子の集団が後ろから迫ってくる。

そして、もう1つ。

耳馴染みのある音が近づく。

たぶんそれは、

近くて

遠い

キミの音。


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