泣いて、凪いで、泣かないで。
*回想*

「ゆっと」

「なんだ?」

「今日はね、ゆっとと行きたいところがあるの」

「どこだ?」

「実はね、もう着いてるんだよ」

「は?」

「ここだよ、ここ」


私はこの日、初めてカフェにやって来た。

ずっと憧れで、こういうところには好きな人と一緒に来て、好きなものを食べたいって思ってたから、今までは外から眺めるだけで通りすぎていた。

何回も店先にある食品サンプルを見ては喉を鳴らし、いつか絶対食べてやろうと決めていたものがある。

それが......


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