泣いて、凪いで、泣かないで。
私は夏祭りの時のことを話した。

ゆっとと並んで調理をしたこと、

ひょんなことから一緒に買い出しに行ったこと、

その道のりでお腹を抱えて大笑いしたこと、

自宅前で待ち伏せをしたこと、

あの場所で好きだと気持ちを伝えたこと、

ゆっとからの明確な返事は無かったこと、

そして、あの日から1度も会っていないこと。

その全てが変えられない事実で、少しだけ胸を締め付けていたけれど、私は話し終わった後、妙にすっきりしていた。

やっと自分で自分をがんじがらめにしていたロープがほどけて楽になれたんだと思った。

私は今までより、呼吸をするのが楽になった。

酸素が美味しく感じるようになった。

だから、気持ちを伝えたことに後悔はしたいない。

これで良かったんだと思う。


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