泣いて、凪いで、泣かないで。
―――トンっ。


キミの手がリュックに乗った。


「おっす、美凪(みなぎ)!」


隣にキミが並ぶ。

毎度ながら、こうなると私の血圧は一瞬だけ大きな波を打つ。


「おはよ、ゆっと」

「んだよ、元気ねぇな。今日から新学期始まるんだから、もっと元気出せよなぁ」

「私、ゆっとより何倍も元気だと思うけど。この1年、風邪1つ引いてないのに、ゆっとはインフルエンザAもBもかかったじゃん」

「おい、バカにしてんのか?!」

「うん」

「ほんと、美凪はひねくれヤローだな」

「ヤローじゃないし」

「ヤローで十分だ」

「ひっど!」


そう言って私が拳を振り上げようとすると、ゆっとは逃げ出した。


「殴れるもんなら殴ってみろ!」

「もぉ!」


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