泣いて、凪いで、泣かないで。
「お~い!ゆっとだよね~?!ゆっと~~!お~いお~いっ!」


俺は振り返って、声のする方を見た。

そこには、地球上のどんな生命体よりも生き生きとしていて、どんな時も天使のような存在で在り続ける彼女がいた。

俺は無意識に引き寄せられ、気づけば彼女の目の前にいた。


「汐衣愛(しいな)、おはよ!」


俺がそう言えば、歯を見せて笑ってくれる。


「おっはよー!ゆっとも元気そうで何よりだよ」


そして、超ハイテンション。


「昨日会ったばっかだろ」


と、俺が突っ込むと、


「あわわ。そぉでした、そぉでした。これはこれは失礼」


独自の語彙力を披露してくる。


「新学期初日も平常運転だな」


俺は汐衣愛の長い髪をわしゃわしゃと掻き回した。


「えへへぇ」

「マヌケな声出すな」

「うっふふぅ」

「今度はなんだよ」

「なんでもな~い」


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