泣いて、凪いで、泣かないで。
エピローグ
海って、なんでこんなにキレイなんだろう。

空って、なんでこんなに青いんだろう。

風って、なんでこんなに優しいんだろう。

まるで、誰かの心、みたいだな。

そんなことを思いながら、砂浜の上を歩いていく。

私が産まれ育った町には、青い海と空が溶け合うように存在している。

そして、私が産まれて数年後に廃工場が壊されて風力発電所が出来、発電所と空と海が織り成す景色が美しいと今では観光地化している。

それを発案したのは、私の両親のお友達みたいで、すごく敏腕な女性らしい。

たしか、名前は......なっちゃん。

母がよく電話していて、いっつもニックネームで呼んでるから、本名は分からない。

私もそんなカッコいい女性になれたらいいな。


―――サッサッサッサ...


砂の上を歩く音って私は好き。

特にこの町の白砂はサラサラしていて、白と黄色が混ざったような色をしていて美しい。

なんていっても、この町の砂浜しか知らないのだけれど。

しばらく歩いていくと、だんだんと両親が経営する水城水産の看板が見えてきた。

どれどれ、今日も覗いてやろうっと。

と、思ったその時だった。


「ん？何これ？」


海岸にビンらしきものがうち上がっていた。

流木ならまだしも、こんなものがどうして？

私はしゃがんでそれを拾い上げた。

足に着けたミサンガが目に入る。

何度見ても可愛いな。

いかんいかん。

今はビンだよ、ビン！

見てみると、中には紙が2通と小さなお守りみたいなものが入っている。

怪しいものではないから、開けてみようかな。


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