泣いて、凪いで、泣かないで。
俺はその後、美凪と一緒にケーキを頬張った。

途中でべろんべろんに酔っ払った父さんが帰ってきて散々だったが、それ以降は穏やかな時を過ごした。

まるであの頃に戻ったかのように...。

俺の始まりに、

俺は美凪を選んで、

終わって、

始まる。

そう、勝手に思っていた。

だけど、過ごした時は戻っては来なくて、

あの日をやり直すことも出来なくて、

どこか後悔している。

選んだんじゃなくて、選ばせられたとか、

始まりじゃなくて、延長だったとか、

色んな間違いがあって、

それを直すことが出来ずに、

毎日来る明日を、

毎秒訪れる未来を、

俺は淡々と生きてしまっている。

それさえも正しいなんて確証を得られずに...。
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