泣いて、凪いで、泣かないで。
「お~い!ゆっとだよね~?!ゆっと~~!お~いお~いっ!」


ずんずんと前を行っていたゆっとも振り返り、こちらを見る。

大分離れていたはずなのに、走って戻ってくる。

まるで磁石のN極がS極に引き寄せられるように。


「汐衣愛(しいな)、おはよ!」

「おっはよー!ゆっとも元気そうで何よりだよ」

「昨日会ったばっかだろ」

「あわわ。そぉでした、そぉでした。これはこれは失礼」

「今日から新学期だけど、平常運転だな」


ゆっとがしーちゃんの長い髪をわしゃわしゃと掻き回す。


「えへへぇ」

「マヌケな声出すな」

「うっふふぅ」

「今度はなんだよ」

「なんでもな~い」


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