無気力さんと同居するらしい
翌日
くあっと大きなあくびをして
教室の隅の席で机にだらんと体重をかける
「あらひどい顔。排水溝の夢でも見たの?」
私の前の席に座ったのは北条結花
結花は腰までの長いストレートの黒髪が特徴的な、白い肌に上品な顔立ちのべっぴんさん…
なんだけどお嬢様チックな見た目とは裏腹に、かなりサバサバした辛口の毒舌ガールである
てか排水溝はないだろうよ…
いったいどこからそのボキャブラリーが出てくるの?
「うわ何そのクマ、昨日ちゃんと寝たのかよ?顔にモザイクかけとけ」
あ
「蒼馬」
今度は私の隣の席に一人の男子生徒が座った
こやつは長谷山蒼馬。私とは中学からの付き合いになる
イケメン揃いのバスケ部で一年生なのに早くもスタメンに選ばれた実力者
中学で知り合ったけど、なんやかんや三年間同じクラスで高校まで一緒という腐れ縁
「ちといろいろありまして…」
「バイト?」
「いや実は…」
ざっと昨日の転機について説明する
マイマザーゴートゥーフランスゥってな
「え、まじ?」
「うん」
「それはまた大変なことになったわね…ていうか梓ってクオーターだったの?」
あ、結花知らなかったんだ
まあ私めっちゃ日本人顔だしね
「え、じゃあ全く知らない奴の家に住むってこと?」
蒼馬が少し身体を乗り出して言った
「まあ…そうなるね」
本当勘弁してほしいよ
別に人見知りとか喋れないとかではないけども
シンプルに気まずいよね