無気力さんと同居するらしい



「ま、真琴君」


……

あれ?


「真琴君?」


……

え、なんで?


「真琴君!」


うそ、いない!?

私一人?


「真琴君!!」


不安になって思わず声を荒げる


嘘嘘嘘…やだやだやだ

どこにいるの?

ねぇってば!!


「真琴君!!」


半泣きになりながら名前を呼ぶ


「ねえ!どこにいるの?真琴君!」


ひとりにしないで!

ひとりは嫌だ!


「ここにいるよ」


!!

息を吸うのが下手くそになっていた私の肩に、誰かの手が乗った

ビクッと大きく肩と心臓が波打った


「ごめん懐中電灯取りに行ってた」

何もなかった視界に光が入り、うっすらと確認できるようになる

懐中電灯が真琴君を照らしている

よ、よかった…


力が抜けて、その場に崩れそうになる

「うお、どうした」

真琴君が私の腕を掴んでそれを止める

ズズッと泣きべそをかきながら真琴君の腕を両手で掴む

「勝手にどっか行かないでよ」

死ぬかと思った

「ごめん」


どこにも行かないように真琴君の硬い腕をぎゅっと握る

「暗いとこ、苦手な感じ?」

「…苦手な感じ」

「そうか」

真琴君が私の腕をさらに上へ引っ張る

「こっちおいで、キッチンの近くは危ない」


私の腕を引いてぼんやりとしか見えない家の中を進んでいく

「ここ、座って」

ここはリビングのソファ…かな?

言われるがまま座る

すると真琴君の手が私の腕から離れた




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