無気力さんと同居するらしい
「梓、知り合い?」
ぅ…
蒼馬、その純粋な目をやめてくれ
純粋に謎だと思ってるその目をやめてくれないか
「…し、しりあぃ…じゃなィ…」
消えそうな声で言った
他人のフリ、他人のフリ…
「い、行こう蒼馬」
もう逃げるしかない
なんで声をかけてきたのか
なんでそんなに笑顔なのか知らないけど
私はあなたに言われた通り、他人のフリをし続けますからね!
「うお、梓?」
蒼馬の腕を掴んで逃げようとした
しかし…
「梓」
っ!?
呼ばれた自分の名前に足が止まる
え、え、え?
なぜ、え
いや
聞き間違い…聞き間違いじゃ
「梓」
聞き間違いじゃないわ
「…え?は?」
蒼馬が混乱してる
「梓、五限の化学、俺らんとこの教科担任が主張だからこっちと合同授業だって。クラスに伝えておいて」
…
………
「り、了解っす…」
「じゃ、あとで」
呆然とする私たちを見る真琴くんの顔は
王子とは程遠い、いつもの無気力顔で
そのまま何故かわざわざ私と蒼馬の間を通っていく真琴くん
蒼馬の腕を掴んでいた手を思わず離した
……
その後ろ姿を見送って沈黙が広がる