無気力さんと同居するらしい


「梓」

「蒼馬?」

蒼馬に人気のない廊下で声をかけられたのは昼休み

結花は委員会の仕事で不在である


「どしたの」

「…いや、眠れなかったのって俺のせい?」

あー…朝のやつね

気にしてたのかな

「まあ…私なりに考えてたからね」

「そーか…なんか悪かったな」

…え?

「…なんで?」

「いや、俺が言ったせいで生活に支障が出てるんだったらって思って…」

はあ?

そりゃそうに決まってるじゃん


告白なんてされ慣れてないもん

誰かに好意を向けられたら

そのことで頭がいっぱいになるのは当然のことでしょう

夜眠れなくなるくらい、頭を抱えるのは当然のことでしょう

でもだからって、それが悪いことになるわけがないでしょう


「ただでさえ同居始まって忙しい時期に、言うもんじゃなかったかなって…ちょっと後悔してたから」

蒼馬が少し目を泳がせて言った

「…そんなこと、言わないでよ」


人を好きになることは

何も悪いことじゃないよ

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