無気力さんと同居するらしい


「…何してんの」

蒼馬がいつもより低い声で言った

真琴くんに抱きしめられていて何も見えない

ただ蒼馬の聞き慣れないその声から、怒りが見える

「…今、俺が梓と話してるんだけど。邪魔しないでもらえますか」

その声がやけに落ち着いていて…怖い


「…ダメ」

…え?

真琴くんの掠れた声

何故か頭上から聞こえたその声に胸がきゅうっとなった


「梓はダメ」

「…何言ってんだよ」

「俺、子供の頃から一人ぼっちとか、誕生日とか、クリスマスプレゼントとか色々我慢できたけど」

な、なんの話?

唐突に昔話を始めた真琴くんに全力で混乱する私

見えないけど、多分蒼馬も


「俺感情とか制御できる方だけど…梓はダメだ」

…へ?

「梓は譲れない」

「……は?」

「梓は…渡せない」


  ドッッッ!!


心臓が何かに殴られてみたいに大きく鳴いた

苦しい
なにこれ

全身を血がめぐってるのがすっごいわかる

手足の指の先までジンジンする


なにこれ…なんでこんなに
胸がうるさいの


真琴くんから感じる熱が

苦しそうな声が

自分のじゃない心臓の音が

…私を混乱させる


なんだこれ

なんなんだこの感情

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