無気力さんと同居するらしい


「…っ、意味、ワカンねぇよ。いい加減梓のこと離っ…」

蒼馬の言葉が途中で切れる

力が抜けたみたいに、声が出るのをやめた


…なに?

なにがあったの?

蒼馬が喋れなくなるほどの
なにかがあったの?

それが何かは見えないからわかんないや…って思ってたけど

少しして
それが何かわかった


私だ

私が蒼馬を喋れなくさせたんだ


真琴くんが私を抱きしめる

抱きしめられた私は

無意識に腕を回し

…真琴くんの服をぎゅっと掴んで
離さなかった




なんで私、抱きしめ返して…

ハッと思わず手を離し、真琴くんの腕の中から抜ける

クリアになった視界

呆然とする真琴くんと蒼馬


…これじゃ私から真琴くんを求めてるのと同じ…

なに、やってんだ私

熱を持っていく顔


純粋に驚いた表情の真琴くんと、少し目に影を落とす蒼馬

「あ…わ、たし」



「ごめん…っ」

思わず駆け出してその場を離れた


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