無気力さんと同居するらしい
……言った
言ったぞ
よくやった梓
お前はすごいやつだ
震えている手の拳は怒りからか、それとも恐怖からか
後者に決まってるけど、前者ってことにしよう
「意味わかんないんだけど」
「本気でうざいんですけど」
「まじなんなの、ブサイクのくせに」
こんないかにもなセリフよく出てくるな
キッと睨みつけた目は逸らさないまま
もう一度息を吸う
「…もういいですか?急いでるので」
さっさと逃げよう
これ以上ここにいるのは…辛い
背を向けた
その瞬間だった
ダンっ!
背中に走る衝撃
意思とは別に身体が大きく前に動く
咄嗟に足が出ず、思い切り前に倒れ込む
ダンっと膝に強い痛み
ついた手が滑ってズリっと嫌な音を立てる
そのままカバンを放り投げ、うつ伏せに転んでしまった
ーーくすくす
ーー「やだー」
ーー「ださー」
笑い声
私に向けられた視線
……泣くな
耐えろ
このくらい
痛くない
こんなの
「ぐ……ふぅ」
痛みに耐える声か
怒りを抑える声か
涙を堪える声か
それを抑え込んで
ひたすら口を結び、立ち上がろうとした
その時だった