無気力さんと同居するらしい


「…なにしてんの」


ぞくっ

あまりにもドスの効いた声に悪寒が走った

「…え」

私は背中を向けて座り込んでいるからその声の主が誰かはすぐにわからなかった

でも、この声、聞いたことがある

「……ま、ことくん?」
「ど、どうしたの?」

真琴くん…?

女の子達のわかりやすく動揺した声がそう言った


チラリと後ろを振り返る

見慣れた同居人の、見慣れない表情

……怒ってる?


「ま、真琴くーん!まだ帰ってなかったんだー!」
「あ、一緒に帰ろうよー!」

転けたままの私を隠すように真琴くんの前に立ちはだかる女子達

「…」


最悪だ

まさか同居人にまでこんな情けない醜態を晒すなんて

女の子達の視線が自分から離れたのをいいことに立ち上がろうと足に力を入れた

ズキ

足に痛みが走る

慣れないその痛みに思わずガクッと膝が折れて、再び地面に手をつく

早く…
早くここを出たい

立ち上がることに集中したいのに

後ろから聞こえる女子達の声


「ま、真琴くん…?」
「ど、どうしたの?」



「……なにしてたの?」

真琴くんの低い声

「え、何って…何も?」
「帰ろうとしてただけだよね」
「う、うん」

よく言うわ

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