無気力さんと同居するらしい
帰り道
無言でただ引かれる手について進むだけ
「痛くない?」
「歩ける」
「痛いかって聞いてんの」
「……痛い」
ぽろっと出た本音
痛いに決まってんじゃん
血出てるし
「…馬鹿だなお前。最初から痛いって言えばいいのに」
…
私は、そういう人間じゃないから
「私は…そういうの、似合わないから」
あるよね
そういうの
似合わない人間っているよね
私は、誰かに甘えたりするのが似合わないの
素直に頼れるように、できてないの
「…確かにクッソ似合わねえな」
ぬ
なんだよ
お世辞でも庇ってくれるものかと思ったけど、この男はそういう気を回せないタイプだった
「でも…俺には、似合わないことして欲しい」
…?
思わぬ続いた言葉に驚く
「俺は、梓のお節介なところは知ってるから。それ以外のところを見せて欲しい」
……なに、それ
どういうこと
「俺は梓と同じ家に住んでて、他のやつより梓といる時間が長い。俺にとって梓は特別だし、梓にとって俺は特別」
何を…言ってるの
「みんなは知らない梓のこと、俺は知っててもいいだろ。梓が学校では仮面付けてるけど、家ではそんなんじゃない俺を知ってるみたいに」