無気力さんと同居するらしい


「……梓」

ん?

急に真剣な顔になったルイくん

「梓、やっぱり…俺と…」


ピルルルル!

わ!

唐突に持っていた携帯が震えた



「真琴くん」

表示された名前を読み上げる

ついこの前連絡先を交換した私たち
やっとかって感じだけどね、トホホ…

「ちょっとごめんね」

席を立ち、通話ボタンを押す


「もしもし?」

『梓?まだそっちにいんの?』

「うん」

『そろそろ帰ってこいよ、暗くなるよ』

ここが実家だから帰るって変な感じだな

「ん、わかった。もうちょっとしたら帰る」

『ん』

「あ、真琴くんご飯食べた?」

『食べた。梓は?』

「食べたよ」

『風呂入れとく』

「ありがと…」

と、スッと携帯の重みが消えた

え?


「え、ルイくん?」

私の後ろから携帯を取ったのはルイくん

なんの表情なのか、すんっと冷めた顔をして私の携帯を耳に当てる

何を…

「もしもし?今日梓帰さないから、よろしく。じゃ」

え"

スピーディーにそう言って電話を切ったルイくん


「ルイくん!?なに言ってんの…ってわっ!」

慌てて携帯を取り戻そうと近寄った私の腕がぐんっと引き寄せられる

すごい勢いだったのでガシャンと携帯が地面に落ちた

そしてルイくんの顔が私の目の前にある


「帰んないで梓。ここにいて」

え?

「あいつのとこ行かないで」

いや、え?


「梓、俺と結婚して」

< 260 / 317 >

この作品をシェア

pagetop