無気力さんと同居するらしい
呆然としている梓
目をパチパチとさせて固まっている
…あー…言いすぎた?
いや、俺は間違ったことは言ってないと思うけど…
「…梓?」
俺が声をかけるとハッとしたように肩を揺らす
そしてわかりやすく狼狽え始める
「…あ、私…誰かに叱られたのって初めてかもしれない」
え?
思わぬ返答に気が抜ける
叱られたの、初めてって…
俺にはあんなに得意に説教するくせに?
あんなに甘えろだの頼れだの言ってくるくせに?
…叱られないってのは
一見、良さそうに思えるけど…梓の場合は違う
この人は知らないんだ
自分を大切にする方法を
友情とはまた少し違う、誰かに大切にされるということを、その受け止め方を知らないんだ
だから実の母親にだってあんなに気を使って、電話の一つもまともにできないんだろう
梓はきっと
誰かを大切にする方法しか…知らなかったんだ